展開地域名: 東京都練馬区
解決すべき課題
未納対策では、未納者の資産や生活状況を把握するため預貯金等の調査が欠かせない。しかし、的確な調査には、多岐にわたる収納情報の整理など経験豊富な職員が持つノウハウが必要となる。区では、予てから業務に精通したベテラン職員の確保が課題となっていた。
解決の手法
区はAIの学習機能に着眼し、富士通Japan株式会社にAIの活用により業務の効率化を図るシステムを実現することの提案を行った。
2年に及ぶ検討や実証実験の結果、ベテラン職員のノウハウ等をAIに学習させ、適切な財産調査先の候補を提示する「⑴財産調査先候補をレコメンドするAI」を共同開発した。これにより、調査先の選定時間の大幅な短縮(90%削減)や、経験が浅い職員でもベテランと同等の成果が得られるようになる。あわせて、未納案件の難易度をAIが推定し、職員の習熟度に応じて担当案件をマッチングする「⑵案件の難易度と職員の習熟度のマッチングするAI」の運用も開始し、各職員の作業効果を高めていく。
2種類のAIの活用により、未納対策の強化と、職員の対応力の底上げを図る。また、区は、未納者には低所得者が多くいる傾向を踏まえ、今まで以上にきめ細かく生活実態を把握できるシステムの特徴を生かし、未納となった要因を早期に捉え、福祉部門と連携して未納者の生活再建の支援も強化していく。
事例による成果
⑴ 財産調査先候補のレコメンド
AIが適切な財産調査先をレコメンドすることで、職員が調査先の選定に要する作業時間を1件あたり平均約30分から約3分へ大幅に短縮(90%削減)。
削減できた業務時間を他の未納者対応に充てることで、今までより多くの案件を丁寧に対応していくことが可能になった。
⑵ 案件の難易度と職員の習熟度のマッチング
難しい案件ほど、財産調査に要する時間や作業工数がかかる。過去の財産調査の作業記録をAIに学習させて難易度を推定し、職員の習熟度の向上に合わせて徐々に難易度の高い案件を割り当てる。これにより、業務全体の効率化を図ることやスムーズな人材育成への活用が可能になった。
事例の継続性
継続運用中
事例の運用期間
2024年4月~継続運用中
参考資料
本事例は、「~住民税等の未納対策強化と生活再建の支援に向け~練馬区と富士通Japanで共同開発した“未納対策を支援するAI”を全国で初めて開始します【練馬区】2024年3月27日」を中心として、以下の資料を参照して編集しています。
※ 以下の資料の参照先は、調査時点でのものです。参照先の構成によっては、リンク切れとなっている場合があります。あらかじめご承知おきください。
●~住民税等の未納対策強化と生活再建の支援に向け~練馬区と富士通Japanで共同開発した“未納対策を支援するAI”を全国で初めて開始します【練馬区】2024年3月27日
https://www.city.nerima.tokyo.jp/kusei/koho/hodo/r6/r603/20240327.files/20240327.pdf
●富士通Japan、練馬区様とAIを活用した住民税などの未納対策業務を支援するシステムを共同開発し実業務での運用を開始【PRTIMES】2024年3月27日
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000278.000093942.html
●練馬区が住民税などの「未納対策支援AI」運用開始、狙いはきめ細かな住民サービス【日経クロステック】2024年7月18日
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/09532/
●練馬区と富士通Japan株式会社、住民税等の徴収業務効率化に向け、滞納整理にAIを活用する共同実証実験を開始!【富士通Japan株式会社】2024年3月27日
https://www.fujitsu.com/jp/group/fjj/about/resources/news/press-releases/2023/0327.html
●総務省_R4.6_自治体におけるAI活用・導入ガイドブック<導入手順編>【総務省 情報流通行政局 地域通信振興課】令和4年6月
https://www.soumu.go.jp/main_content/000820109.pdf
事例に関する問い合わせ先
富士通Japan株式会社 ソリューショントランスフォーメーション本部
fjj-frontxiu-contact@dl.jp.fujitsu.com
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