展開地域名: 東京都
解決すべき課題
■教員は「児童・生徒 1人ひとりに向き合って、しっかり指導したい」という思いがある一方で、授業準備やテスト採点などの学習に直結する校務に加えて、学校行事・アンケート集計・部活の指導など、様々な業務もあり、なかなか思うようにできないという悩みがある。
(大日本印刷株式会社「新しい時代をひらく子供たちの学びのためにリアテンダントを。」参照。)
● 小学生の通知表作成の材料となる「評価テスト」は、各教科の単元・期末ごとに行われるテストだが、全国の小学校の 8 割が、教材会社の提供する評価テストを採択、実施している。教員は、解答用紙を採点するにあたり、丸付け、総得点・観点別得点の集計、入力を行う。一般的には手作業で集計した結果を一度紙に転記した後に入力作業を行うため、クラス全員の解答用紙の集計・入力作業だけでも 1 回のテストでおよそ 20 分を要す。年間では 1 教科で16 回程度、4 教科では約 70 回のテストが実施されており、教員は 2,000 枚のテストを約 1,400 分かけて集計する計算となる。
● 学期末などには深夜残業での対応が多くなり、文部科学省における教員の過重労働対策の中でも、テストの採点は大きな業務負荷の一つとして捉えられている。
(IoTNEWS「DNPの学習支援プラットフォーム「リアテンダント」、AIで小学校の評価テストを自動集計・ビッグデータを蓄積・分析するモデルを開発」より。)
解決の手法
■大日本印刷 ㈱(DNP)は、学習関連と校務関連のデータの連動によって教育の質の向上を目指す文部科学省の「次世代学校支援モデル構築事業」や、総務省の「スマートスクール・プラットフォーム実証事業」(2017~19 年度)をはじめ、先進的な実証事業に参画。
教育現場で紙のテストの結果をパソコンで自動的に採点・分析し、一人ひとりの児童・生徒の課題を抽出して、個別最適化した学習の推進や教員の働き方改革などを支援する「DNP学びのプラットフォーム リアテンダント(R)」(以下:リアテンダント)のサービスを提供。
リアテンダントは複数の教材会社のテストを共通のプラットフォームで扱えるため、教材会社を問わず、評価テストのスタディ・ログの蓄積・活用が可能。
(IoTNEWS「DNPの学習支援プラットフォーム「リアテンダント」、AI で小学校の評価テストを自動集計・ビッグデータを蓄積・分析するモデルを開発」参照。)
● 2019 ~ 20 年には、東京都の BYOD(Bring Your Own Device)研究指定校(7 校)に採点支援システムを提供、採点の効率化による教員の働き方改革を支援。
・うち 2 校では、2020 年に、東京学芸大学の森本康彦教授と北澤武准教授の指導のもと、採点支援システムで収集した採点やアンケートの結果データの活用について研究。日常の紙の小テストや定期テストの採点で蓄積した学習履歴データを分析することで、個別に最適化された学びや、学習履歴に基づくエビデンスベースの指導、授業の改善などに活かしていく実証研究を行った。
・2020 年 3 月には、全国 100 校(教員 150 人以上、自治体数では政令市含む 42 自治体のモデル校)で、「リアテンダント」の 2020 年度導入に向けた実証研究を完了。そのなかで東京都麹町中学で 2019 年 9 月~ 2020 年 2 月にかけて実証研究を行った。
● 2022 年 4 月より、「リアテンダント」の東京都立高等学校全校、中等教育学校および附属中学校、計 203 校の都立学校への提供が決定。東京都が目指す 3 つの改革、「1.学び方改革」「2.教え方改革」「3.働き方改革」の実現を支援。
(大日本印刷株式会社「DNP学びのプラットフォーム リアテンダント®」、「DNPの学びのプラットフォーム「リアテンダント」都立高校全校への導入が決定」、日本経済新聞「「リアテンダント」を活用した教育ICT関連の実績について」参照。)
● リアテンダント採点パッケージの特徴:
① 教員の採点業務を効率化:
・生徒が取り組んだ解答用紙を複合機でスキャンする。
・取り込んだデータをもとに、パソコンでデジタル採点を行える。
・覧に表示された同じ設問を見て簡単に採点することができ、同時に AI で自動集計(総合展、観点別得点など)されるため、手計算から解放される、
② スマート分析で個に応じた指導の実現を支援:
・学年やクラスの傾向を視覚化、簡単に把握できる。
・グラフに個人名が重ねて表示されるので、気になる児童・生徒が見つけやすく、データを指導に活かすことができる。
(IoTNEWS「DNPの学習支援プラットフォーム「リアテンダント」、AIで小学校の評価テストを自動集計・ビッグデータを蓄積・分析するモデルを開発」参照。)
事例による成果
● 2019 ~20 年には、東京都の BYOD(Bring Your Own Device)研究指定校( 7 校)では、採点時間を従来の半分程度に短縮(7校の実績による試算では、採点時間を従来の 49.0 %に削減)。
(大日本印刷株式会社「DNPの学びのプラットフォーム「リアテンダント」都立高校全校への導入が決定」より。)
● 2020 年の全国 100 校(教員150人以上、自治体数では政令市含む 42 自治体のモデル校)での「リアテンダント」の 2020 度導入に向けた実証研究のなかで、東京都麹町中学で 2019 年 9 月~ 2020 年 2 月にかけて実証研究を行っているが、同校の実証研究の結果、従来の採点業務に比べて、教員の業務時間が 60 %削減されるという効果が得られた。
(大日本印刷株式会社「「定期テスト廃止」など先進的な学校改革を進める麹町中学校で「リアテンダント」の実証研究を実施」参照。)
● 2022 年 4 月より、「リアテンダント」の東京都立高等学校全校、中等教育学校および附属中学校、計 203 校の都立学校への提供が決定した。
(大日本印刷株式会社「DNPの学びのプラットフォーム「リアテンダント」都立高校全校への導入が決定」より。)
● リアテンドを利用した教員の声:
量の削減
・5 クラスで 10 時間かかっていた作業が設定作業を合わせても 5 時間以下で終了した。
・読み取り精度は高く、記号が多めのテストなら自動採点してくれるのでもっと時短になる。
・今まで残業や土日を使い自宅に持ち帰っていたが、テスト日に校内で採点を完結することができ感動した。
・計算する労力が不要になったので、気分的に採点が楽になった。
・同じ問題を一気に採点できるので、採点基準がぶれなくてとても良い。
・計算ミスなどのヒューマンエラーが紙に比べ格段に減り、採点の正確性が向上したことで、生徒からも好評だった。
・生徒による答案用紙の改ざん防止になった。
・入試において、去年まで 100 人で 8 時間かけていた採点を、63 名で 2 時間に短縮できた。
指導の質の向上
・正答率の低い問題に着目し、ふり返り授業で模範解答を示すことができた。
・テストの分析に時間を取ったり、誤答の傾向などを具体的な数値で解説する余裕ができた。
・個人内の点数の推移を追いかけ指導に活かすことができた。
・分析結果にもとづく「復習問題」の情報を 伝える事で、効率的な復習に繋がった。
・学習データに関連する先生同士のコミュニケーションが増えた。
・負担軽減により余裕が生まれ、生徒と向き合う時間を増やすことができました。
(大日本印刷株式会社「DNP学びのプラットフォーム リアテンダント®」より。)
● 現在リアテンダントは約 2600 校で導入されている。
(大日本印刷株式会社「DNP学びのプラットフォーム リアテンダント®」より)
● 2022年度 冬のDigi田甲子園でベスト 4、インターネット投票 5 位、審査委員評価 3 位に選出。
事例の継続性
継続運用中
事例の運用期間
2017 年度~継続運用中
参考資料
本事例は、「2022年度 冬のDigi田甲子園 学びのプラットフォーム「リアテンダント」で実現する教育DX」を中心として、以下の資料を参照して編集しています。
※ 以下の資料の参照先は、調査時点でのものです。参照先の構成によっては、リンク切れとなっている場合があります。あらかじめご承知おきください。
■デジタル田園都市国家構想 DIGIDEN
●2022年度 冬のDigi田甲子園
・学びのプラットフォーム「リアテンダント」で実現する教育DX
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digitaldenen/koshien_winter/0023.html
・冬のDigi田甲子園結果発表
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digitaldenen/koshien_winter/index.html
■政府インターネットテレビ
・【大日本印刷株式会社】学びのプラットフォーム「リアテンダント」で実現する教育DX
https://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg25996.html?nt=1
■大日本印刷株式会社
・会社概要
https://www.dnp.co.jp/corporate/information/
・DNP学びのプラットフォーム リアテンダント®
https://www.dnp.co.jp/biz/solution/products/detail/1192360_1567.html#anchor05
・新しい時代をひらく子供たちの学びのためにリアテンダントを。
https://www.dnp.co.jp/biz/theme/edu/
・DNP学びのプラットフォーム「リアテンダント」が内閣官房の「冬のDigi田甲子園」ベスト4に! 2023年3月10日
https://www.dnp.co.jp/news/detail/20168999_1587.html
・DNPの学びのプラットフォーム「リアテンダント」都立高校全校への導入が決定 2021年12月13日
https://www.dnp.co.jp/news/detail/10161854_1587.html
・「定期テスト廃止」など先進的な学校改革を進める麹町中学校で「リアテンダント」の実証研究を実施 2020年3月27日
https://www.dnp.co.jp/news/detail/10158086_1587.html
■経済産業省
●未来の教室
・DNP学びのプラットフォーム「リアテンダント(R)」
https://www.learning-innovation.go.jp/db/ed0106/
■SHIFT by ITmedia ビジネス ONLINE
・大日本印刷・北島社長が語る「DXを経営の柱に据えた理由」 データを活用して出版界全体の改革に取り組む 2021年07月14日
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2107/14/news013_3.html
■東京都教育委員会
・BYOD研究指定校等について 公開日:平成30年(2018)6月5日 最終更新日:令和2年(2020)10月30日
https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/school/designated_research_school/byod/byod.html
・成果報告書
https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/school/designated_research_school/byod/files/byod/report.pdf
■ICT教育ニュース
2020年3月30日
・DNP、東京の公立中学でプラットフォーム「リアテンダント」の実証研究
https://ict-enews.net/2020/03/30dnp-5/
■日本経済新聞
・大日本印刷、「DNP学びのプラットフォーム リアテンダント」の都立高校全校への導入が決定 2021年12月13日 12:16
https://www.nikkei.com/article/DGXLRSP623620_T11C21A2000000/
・「リアテンダント」を活用した教育ICT関連の実績について
https://release.nikkei.co.jp/attach/623620/01_202112131215.pdf
■PR TIMES
・DNPが参画するコンソーシアムが経済産業省の「未来の教室」実証事業者に採択
複数の教育データを連動させて指導者と学習者の学びを改善・改革 大日本印刷株式会社
2022年9月22日
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000251.000069194.html
■IoTNEWS
・DNPの学習支援プラットフォーム「リアテンダント」、AIで小学校の評価テストを自動集計・ビッグデータを蓄積・分析するモデルを開発 2020-03-09
https://iotnews.jp/ai/150119/
関連する図表・動画
●デジタル田園都市国家構想実現会議事務局
・23.【大日本印刷株式会社・東京都】学びのプラットフォーム「リアテンダント」で実現する教育DX
https://www.youtube.com/watch?v=ul1OegDXvv4
本事例についてのご要望
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