展開地域名: 兵庫県西脇市
解決すべき課題
■高齢化の進展による医療費・介護給付費の増加は全国の地方自治体にとって共通の課題であり、兵庫県西脇市(3.9 万人)、福井県大野市(3.2 万人)、京都府南丹市(3.1 万人)、岩手県金ケ崎町(1.6 万人)の4市町では生活習慣病予防や介護予防に向けた市民の健康づくりの施策が行われている。
● 4 市町では、これからの 10 年間で人口減少とともに後期高齢者人口割合が高まり、その結果、後期高齢者医療費は約 15 億円の増額が試算されている。加えて、各市町とも独居高齢者の割合が増えることによる社会的フレイルの課題、要介護認定者の増加が見込まれてる。
● 市民の 7 割は、今後も健康づくりを開始する意思のない「健康無関心層」であるという研究結果もあり、従来の健康づくりの施策が届かない健康無関心層に対する働きかけが課題となっている。一方で、社会全体ではスマートフォンやタブレット、パソコンを始めとする ICT を活用した様々なサービスが展開されている。
● 長期化する新型コロナウイルス感染症拡大の影響により健康二次被害(運動不足や認知症発症リスクの増大など)が懸念されている。
解決の手法
■この問題に対して、兵庫県西脇市、福井県大野市、京都府南丹市、岩手県金ケ崎町の4市町は、これまでも Smart Wellness City 首長研究会(略称:SWC 首長研究会)に加盟し、自然と歩く・歩かされるまちづくりとして、『健幸都市=Smart Wellness City』の実現をコンセプトにした取組を進めてきた。
この取組をさらに加速させるため、4 市町が連携し、株式会社つくばウエルネスリサーチ(中間支援組織)、株式会社タニタヘルスリンク(サービス事業者)、筑波大学(評価機関)の協力を得て、地方創生推進交付金を活用した「飛び地自治体連携による成果連動型スポーツ健康まちづくり事業」を令和 3 年度から開始している。
●その取り組みとして、4 市町が連携して、健康無関心層をターゲットにした共通のインセンティブ施策「健康ポイントプログラム」を令和3年度から実施している。
・参加者は、活動量計を身に付けて歩行や運動、健康づくりイベント等に参加することで、ポイントを貯め、貯めたポイントを商品券等に交換できる仕組みを構築している。
・ 4 市町では、活動量計データのアップロード拠点(以下「測定拠点」という。)を公共施設やスーパー、コンビニなどの日常生活圏に設置しており、参加者は定期的に測定拠点において歩数データの送信や、体組成(筋肉率や肥満度など)の測定を行うことができる。
・ ICT(情報通信技術)を活用して成果をモニタリングできるため、参加者の活動意欲の継続や運営側の効果的な施策の展開につながっている。
・ICT を用いて個々の活動内容を支援しつつ、デジタルを活用した交流を通じて孤立化を解消することで、長期化する新型コロナウイルス感染症拡大の影響により懸念される健康二次被害(運動不足や認知症発症リスクの増大など)防止の面でも効果的である。
<住民のプロジェクトへの参加の流れ>
① 参 加 申 込:住民が自治体に参加申し込みを行い、自治体から活動量計などの提供又は貸与を受ける。参加対象者は市内に在住または在勤する 40 歳以上の方(西脇市「にしわき健康ポイント 2022年04月28日更新」参照)。
② 歩く取り組み:日常生活の中で歩く取り組みを行い、歩いた歩数に応じてポイントの付与を受ける。
③ イベントへの参加:自治体から指定されているイベントに参加し、参加するごとにポイントの付与を受ける。
④ データの送信:測定拠点において、定期的に歩数データを送信する。
⑤ 体組成の測定:測定拠点において、定期的に体組成(筋肉率や肥満度)を測定し、ポイントの付与を受ける。
ー貯まったポイントは、最大 6,000 円相当の地域商品券と交換となり、年度末に参加者の自宅に届けられる、
解決における工夫点
● 本取り組みの特徴的な点:
・4 市町では成果連動型民間委託契約方式(PFS)を導入し、産学官連携により事業を実施している。業務完遂型契約と異なり、民間は成果が出ないと委託費が減額される仕組みであることから、官民で成果にこだわった事業を展開している。
・全国的にも先駆的な事業規模となる「40 歳以上人口の2割参加」、介護給付費の抑制を目的とする「新規参加者の 15 % 以上が 80 歳以上」を目標に、住民の健康寿命の延伸と全国に点在する小規模都市が連携して実施する地域活性化の成功モデルを目指している。
● デジタルの活用において工夫した点:
・ 活動量計のデータの測定拠点を、既存のコミュニティ施設、コンビニやスーパーなどの生活導線に設置することで、活動の成果を見える化するとともに、参加者の外出やコミュニケーション機会の創出にもつながるよう工夫した。
・活動量計と WEB サイト及びスマートフォンアプリを併用し、自身の健康度を可視化するとともに、活動意欲の向上につなげた。
・4 市町連携のメリットを活かして、本年 1 ~ 2 月に「4 市町対抗歩数イベント」を実施。仮想の状況下(バーチャル)において期間中の参加者の平均歩数の合計を市町対抗で競い合い、活動のマンネリ防止と更なる意欲向上を図った。
・スマートフォンアプリの通知機能を通じて、ウォーキングイベントなどの周知に活用したところ、概ね誘客増につながった。また、付与ポイントの多寡が誘客の有意な差として現れたことから、特定セグメント(本事業の場合は健康関心層)ごとの効果的な誘客手法という点での知見を得た。
事例による成果
● 産学官が連携して成果にこだわった運営ができ、西脇市では月平均 2000 歩の歩数増加がみられた。
● 健康ポイントプログラムの参加者数:
① 健幸ポイントプログラムの参加者数【令和 3 年度】
市町名 目標値 実績値
1 兵庫県西脇市 880 人 799 人
2 福井県大野市 700 人 700 人
3 京都府南丹市 500 人 453 人
4 (岩手県金ヶ崎町) (500 人) (480 人)
合計(1~4) 2,580 人 2,432 人
② 80・90 歳代の健幸ポイントプログラムの参加者数【令和 3 年度】
市町名 目標値 実績値
1 兵庫県西脇市 132 人 88 人
2 福井県大野市 105 人 59 人
3 京都府南丹市 75人 77人
4 (岩手県金ヶ崎町) (75人) (23人)
合計(1~4) 387人 247人
● KPIとして「事業を通じた市民の健康投資額」及び「健康寿命の延伸/医療費・介護給付費の抑制額」を設定しているが、本調書の提出時点において未集計。
【今後の展望】
● 事業開始 1 年目(令和 3 年度)の事業評価で得られた成果や課題を踏まえて事業手法の改善、充実を行いながら、2 年目以降も引き続き、4市町、関係機関が連携しながら、医療費・介護給付費抑制に向けて本事業に取り組む。
● プログラムの有料化や、本事業の趣旨に賛同する企業等からの企業版ふるさと納税の活用も視野に入れて、4 年目以降は、3 年目までの医療費・介護給付費抑制額 2.9 億円のうち一般財源の抑制額約 23 百万円、さらに高い成果をあげることで得られる保険者へのインセンティブ交付金も財源と考え自走化を目指す。
事例が与えた影響
エビデンスに基づいた施策展開が可能となった。
事例の継続性
継続運用中
事例の運用期間
令和 3(2021)年度~継続運用中
参考資料
本事例は、「2022年度 夏のDigi田甲子園 兵庫県の取り組み」を中心として、以下の資料を参照して編集しています。
※ 以下の資料の参照先は、調査時点でのものです。参照先の構成によっては、リンク切れとなっている場合があります。あらかじめご承知おきください。
■デジタル田園都市国家構想 DIGIDEN
●2022年度 夏のDigi田甲子園
・兵庫県の取り組み
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digitaldenen/archives/koushien/chiiki/hyogo.html
・推薦調書
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digitaldenen/archives/koushien/chiiki/pdf/28-2.pdf
●デジ田メニューブック
・ICTを活用した飛び地自治体連携による健康ポイントプログラム
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digitaldenen/menubook/2022_summer/0092.html
■政府インターネットテレビ
・兵庫県西脇市|ICTを活用した飛び地自治体連携による健康ポイントプログラム|夏のDigi田甲子園
https://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg24929.html
■西脇市
・にしわき健康ポイント
https://www.city.nishiwaki.lg.jp/kakukanogoannai/kurashianshinbu/kenkouka/point/index.html
・にしわき健康ポイント 2022年04月28日更新
https://www.city.nishiwaki.lg.jp/kakukanogoannai/kurashianshinbu/kenkouka/point/24850.html#:~:text=%E5%81%A5%E5%B9%B8%E3%83%9D%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%88%E3%81%AE%E8%B2%AF%E3%82%81%E6%96%B9,%E5%88%B8%E3%81%A8%E4%BA%A4%E6%8F%9B%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
→にしわき健幸ポイントの概要 更新日:2023年06月21日
・追加募集 にしわき健幸ポイント2022の追加募集を実施します 2022年07月07日更新
https://www.city.nishiwaki.lg.jp/kakukanogoannai/kurashianshinbu/kenkouka/point/25516.html
・にしわき健幸ポイント参加者の皆さんへ
https://www.city.nishiwaki.lg.jp/kakukanogoannai/kurashianshinbu/kenkouka/point/24662.html
ーにしわき健幸ポイント 2021 令和3年度参加手引
https://www.city.nishiwaki.lg.jp/material/files/group/82/pointguide.pdf
(2023/8/2現在非表示)
・体と心の健康のために、ウオーキングを始めましょう 2022年06月01日更新
https://www.city.nishiwaki.lg.jp/kakukanogoannai/kurashianshinbu/kenkouka/point/24476.html
・地域再生計画 2021年05月31日更新
https://www.city.nishiwaki.lg.jp/kakukanogoannai/toshikeieibu/kikaku/kobetu_keikaku/1354767930388.html
ー地域再生計画 飛び地自治体連携による成果連動型スポーツ健康まちづくり事業
https://www.city.nishiwaki.lg.jp/material/files/group/29/030331-tiikisaisei-plan-health.pdf
・スマートウエルネスシティ(SWC) 2022年08月05日
https://www.city.nishiwaki.lg.jp/kakukanogoannai/kurashianshinbu/kenkouka/smartwellnesscity/22865.html
■成果連動型事業(SBI事業)
https://www.twr.jp/service/suishin/sibpj/
■内閣府
・【令和2年2月時点】 【令和3年12月更新】事業名称:飛び地自治体連携型大規模ヘルスケアプロジェクト
https://www8.cao.go.jp/pfs/jirei/tobichi.pdf
■タニタヘルスリンク
https://www.tanita-thl.co.jp/
関連する図表・動画
●デジタル田園都市国家構想実現会議事務局
・【兵庫県西脇市】ICTを活用した飛び地自治体連携による健康ポイントプログラム
https://www.youtube.com/watch?v=hwiSgTe1X3s
事例に関する問い合わせ先
西脇市役所 くらし安心部 健幸都市推進課
Tel: 0795-22-3111(代表)
E-mail: kenkoutoshi@city.nishiwaki.lg.jp
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