千葉県佐倉市: 佐倉市が進めるゼロカーボンシティへの道 — 省エネルギー促進と印旛沼の環境教育

佐倉市は、千葉県の北東部に位置し、城下町の町並みは日本遺産に指定されている。2021 年 8 月に「佐倉市ゼロカーボンシティ宣言」を表明し、高い CO2 削減目標を掲げて施策を推進している。また2023 年 1 月には、温室効果ガス排出源の測定と分析ができるプラットフォームの1つであるGoogle EIE(Environmental Insights Explorer)のデータを公開している。

今回は、経済環境部生活環境課の中村 壮梧氏に、佐倉市のゼロカーボンシティ施策について伺った。佐倉市では、省エネルギーや再生可能エネルギーの利用促進、印旛沼などの水辺環境の保全と環境教育、気候変動対策といった取り組みが行われている。以下では、それぞれについて紹介したい。

省エネルギーの促進・再生可能エネルギーの利用促進

省エネルギー促進および再生可能エネルギーの利用促進のための施策としては、住宅設備に対する脱炭素化促進の補助を行っている。脱炭素化促進の補助としては、住宅に太陽光発電設備、燃料電池システム(エネファーム)、定置用リチウムイオン蓄電システム等の設備を導入した場合、その導入費用の一部を補助している。

市としても、学校設備へのLED照明の導入や空調設備の省エネルギー改修、公共施設の新設・改修に際しての太陽光パネルの設置推進を行っている。また、庁用車における電気自動車の導入方針を策定し、2024 年 2 月に電気自動車 2 台を共用開始した。

これらの施策については、広報誌やホームページに連載することにより、市民に啓発している。

ゼロカーボンラッピングの公用車(電気自動車) (出典: 佐倉市webページ

印旛沼などの水辺環境の保全と環境教育

印旛沼をめぐる水辺環境は、佐倉市の代表的な自然の 1 つである。佐倉市では、このような環境の保全につとめるとともに、市内の水辺環境に関する学習会や野外観察会を実施している。印旛沼の公開講座では、印旛沼の歴史、水利用、水質、生態系など、各回テーマを設けた講義を実施している。市内在住の親子を対象とした印旛沼の学習会では、印旛沼を専門とする先生の説明のもと、観光船に乗って沼や周囲の自然観察と、水質についての実験などを行っている。また、中学生以下を対象とした水辺観察会では、印旛沼の生きものやを網などで採集し観察するなど、印旛沼に注ぐまでの水の流れや水辺の植物、生きものに関することについて、講義や野外観察を行っている。

印旛沼と観光船 (出典: 佐倉市webページ

気候変動対策

印旛沼の最下流に位置する佐倉市では、洪水調整機能の強化が地域課題の 1 つとなっており、近年では地球温暖化などの影響により自然災害のリスクも一層高まっている。温暖化による気候変動への対策に取り組むため、佐倉市は 2024 年 4 月に「佐倉市気候変動適応センター」を設置し、市における気候変動の影響に関する情報の収集・提供や、気候変動への緩和及び適応施策の取組を進めている。取組の一環としてESD(持続可能な開発のための教育)があり、気候変動をメインテーマに小中学校などで専門家を講師とした授業を実施し、地球温暖化の仕組みや、気象災害から身を守る方法などの学習機会を提供している。

気候変動教育にて、ハザードマップで学校や自宅の位置を確認する小学生(出典: 佐倉市webページ

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ここまでご紹介してきたように、佐倉市は、ゼロカーボンシティを目指して、省エネルギーや再生可能エネルギーの利用促進、印旛沼などの水辺環境の保全と環境教育、気候変動対策といった取り組みを行っている。また、Google EIEのデータも公開している。これらの取り組みを、VLEDとしても応援していきたい。

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